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月二回軍よりサック4個支給 ~日中戦争時のある軍事郵便より [歴史]

小さいミカン一個拾弐二銭、石鹸の小さいのが弐拾銭、その他何でも高く月二回軍より配給品の酒二合、煙草二個、キャラメル一個、サック四個、石鹸一個、此れで我慢しなくてはならない。

軍事郵便封筒オモテs 昼間様.jpg軍事郵便 晝間様サック4個s.jpg




月2回、サック4個を軍から支給ということは月8個。ということは風俗に1ヶ月で8回行こうと思えば行けるということか。1回に2個使用としても4回週1で行けるとしたらまあまあではないかと思うのだが。(笑)
しかしこれで我慢しなくてはならない、と不満たらたらの記述がなかなか興味深い。

この軍事郵便は、徐州へ派遣された野戦郵便局員から元勤務先の東京荒川区の郵便局長宛の近況報告のようだ。

検閲印のように見える印は、差出人と同じ姓だ。多分本人印なのだろう。点検済のスタンプが押されているが、責任者欄は空白だ。

どうやら軍人ではなく派遣された郵便局員ということだからか、内容に厳しいチェックが入っているような感じがしない。


カフェ喫茶店等ピーヤも沢山有って使い始めたら相当面白いらしい
この頃ゲイシャヤも出来て、あやしげなサービスをして居ります
一回拾円位ださうです。

仕事は相変わらず忙しく
三人でやっていますが忙しくて忙しくて
もう内地へ帰りたくなった
東京が恋しい

此処徐州は水が悪いので今飲んで居ても別に差し使いないが年配になって結石を起すとか悪い様で、此んな話が出たので皆太く短く暮らしてやろうなんて気を持ったのかも知れん。
俺もそんな話を聞いたらいやんなった

結構、率直な気持ちや不満がそのままに書かれている。

通常は上官による検閲が入り、不適切な内容はチェックされる筈だ。この封筒にも一応点検印があるが、かなり大目に見られたか、あるいは形式的にハンコだけ押されたのかも知れない。どうやら軍に随行する郵便局員ということで、それなりの便宜があったのだろう。

野戦郵便局員の勤務期間がどの程度のものなのか判然としないが、比較的安全地帯のしかも戦闘員でない人間にして本音はこのありさまである。

正規の軍人で、しかもいつ内地に戻れるかその見通しも分からない一般兵士の不平不満はこんなものではなかったに違いない
だが彼らの検閲を受けた手紙からは、その真情を知ることはできないだろう。

そういう意味では、これは貴重な史料ではないか。

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